設計審査(デザインレビュー:DR)【キーワード学習】

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設計審査とは?【技術士二次試験】

設計審査は「デザインレビュー」「DR(ディーアール)」Design Review 」など様々な呼び方があります。

ISO9000シリーズ「品質マネジメントシステム」で実施を規定さており、設計品質の確保を目的に実施されます。

お勤めの会社によっては社内規定などで異なる定義や運用である場合があるので、技術士二次試験では、解答の初めに定義を宣言するように注意しましょう。

設計審査とは「各製品開発プロセスにおいて設計部署以外も含めた専門家が参加し、成果物に対してQCDSEPの観点で審査することにより、次プロセスへの移行可否を判定すること」です。

設計審査の対象資料(成果物)

設計審査でレビュー対象になる資料や内容には下記の項目があります。
特に「 品質、コスト、期間、安全、環境 」の視点で審査されます。

  • 製品の図面や仕様書
  • 製品の試作結果と残っている課題やリスク
  • 製品のQCDSEP(+製品開発プロセスの健全性)

設計審査の実施タイミング

一般的に設計審査の実施タイミングは「 製品企画-構想設計-詳細設計-量産設計」と各プロセスの移行時に実施されます。更に、各プロセス中で「設計-試作-評価」といったPDCAを回す場合もあります。

設計部署だけでなく生産や購買といった他の部門の責任者もレビューに参加することで、次のプロセスへの移行可否を判断します。

これにより設計品質を確保することで、修正工数の大きくなる製品開発プロセス後半での手戻りを防ぎます。

長所=メリット(波及効果を含む)

  • 製品のQCDSEPを確保する。
    Q:機能、性能、C:コスト、価格、D:期間、工数、S:安全性、信頼性、E:環境、P:特許
  • 各部門が事前にリスクを認識や共有できる。
  • 製品開発プロセス後半での手戻りを防止する。

短所=デメリット(課題と問題を含む)

  • 各部門の当事者意識が低く設計審査が形骸化する。
  • 各部門の担当者が忙しく参加率が低い場合がある。
  • 設計審査での指摘事項が反映されない。
  • 担当者の資料準備時間が膨大になる。
  • 次プロセスへの移行条件が不明確な場合がある。
  • 議論が発散して結論がでない場合がある。

留意点

設計審査における留意点には下記の項目があります。
内容を順番に解説していきます。

  • 中間レビューやミニレビューの開催
  • 担当者の高負荷問題
  • 次プロセスへの移行条件が不明瞭な問題

①中間レビューやミニレビューの開催

一般に設計審査は各製品開発プロセス毎に行われますが、
この場合では審査内容が多すぎて議論が発散しやすくなります。

そのため各製品開発プロセス中のPDCAのなかに、
中間レビューやミニレビューという形で組み込みます。

またレビュー時間の不足が予想される場合は事前に
資料を送付し指摘事項を集約しておくことも有効です。

②担当者の高負荷問題

設計者は各プロセスの後半では試作結果を見て、事前に行った設計の内容を検証する必要があるので時間がありません。

さらに設計審査のように厳密に資料を用意することは大変です。その場合は上記に示したレビューの分割が有効です。

③次プロセスへの移行条件が不明瞭な問題

設計審査には「レビュー」と「審査」の側面があります。

「レビュー」では担当者が気づかないような内容を、各分野の専門家が多様な視点を提供して気づきを促します。

一方で「審査」では判定基準に対して合否を判断します。
この「判定基準」という内容が曲者になります。

対策としては次プロセスへ移行するタイミングか開始するタイミングで
事前に判定機基準を合意していおくことが有効です。

今後の展望

今後もDRが無くなることは想定できません。その一方でISO9000シリーズは活発に更新されていますし、開発プロセスにおけるツールの進化は期待できますので紹介します。

  • レビューのでXRの応用(VR・AR・MR)
  • ラピッドプロトタイピングの活用

レビューのでXRの応用(VR・AR・MR)

紙の文書ばかりで議論していても中々議論は深まりません。そこでXR(VR・AR・MR)を利用して体験してもららい、資料に記載していある内容の理解や導入を促します。

  • VR「 Virtual Reality 」:仮想現実、仮想空間への没入
  • AR「 Augmented Reality 」:拡張現実、現実世界に仮想空間を描画
  • MR「 Mixed Reality 」:複合現実、ARで描画された仮想空間への操作

リモート勤務下では特に有効な手段になるといえます。
ハードウェアの進化も足元で着々と進行しており普及は時間の問題です。

ラピッドプロトタイピングの活用

最近のリモート勤務下では難しい方法ですが、レビューの際にこれから試作予定の部品のデザインモックアップなどを準備するのも有効な方法です。

最近では3Dプリンターの値段は劇的に低下しており、少なくとも試作においては十分に活用できる内容となっています。

デザインレビューまとめ【機械部門】

設計審査が行われていない会社は無いでしょうが、その実施状況は様々であると考えられます。

般論を意識しながらご自身の経験を論述できるように準備しましょう。

また設計審査と似たような意味の言葉として「検証と妥当性確認」もありますが、設計審査は「V&V」よりも大きな概念です。

関連キーワード

設計審査、DR、デザインレビュー、ISO9000シリーズ、JIS Q9000シリーズ、品質システムマネジメント、設計品質、製品開発プロセス、検証と妥当性確認、V&V、専門家、有識者、担当者、QCDSE、etc…

参考資料

参考資料は順不同で記載しています。

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