CAEとは?【技術士二次試験】
CAEとは「Computer Aided Engineering」の略称です。
他にも「シミュレーション(Simulation)」や「解析」と呼ぶこともあります。
また「FEM(Finite Element Method)」=有限要素法とも言います。
最近はメッシュを作成しないCAEもありますので設問に従います。
具体的には「構造解析・流体解析・熱解析・電磁界解析」などの解析を示します。
これらを組み合わせた連成解析も可能です。
CAEはCADともCAMとも似た言葉ですが「EngineeringとDesingとManufacturing」の部分が異なります。
/リスト
- 構造解析・・・圧力、応力、変位、安全率、
- 流体解析・・・圧力、流速、温度、
- 熱解析・・・・温度、応力、変位、
CAEの業務フロー
通常のCAEツール操作手順は下記のようになります。
解析業務は「ツール操作」だけを示さないので注意しましょう!
- プリプロセッサ
解析に必要な条件を入力します。
形状や材質の情報と荷重の大きさや方向と接触条件などです。 - ソルバー
プリプロセッサーの入力をアルゴリズムに従い計算する工程です。
膨大な計算を実施しComputerのリソースを大量に使用します。 - ポストプロセッサ
ソルバーの計算結果を見て分かる状態にします。
コンター図やアニメーションでモデルに起こっている現象を理解します。
実務では「ツール操作」だけでなく「シミュレーションのV&V」を行います。
これは「ASME V&V」に詳しいのでWeb検索をかけてください。
CAE周辺の概念は進化していますので学習を続けましょう!
近年はコンピュータとCAEソフトが急速に進歩しており
設計者CAEという概念も身近になっています。
CAEの特徴
CAEの長所と短所を説明します。
長所(波及効果を含む
- 手計算では対応できない複雑形状や条件の計算結果が得られる。
- 試作レス:試作品を作成して評価により行っていた検討をPCのモデル上で実施できる
- 簡単に実験で設定できない条件や環境(超高温や極圧)での検討が可能である。
- マルチスケール:試作では作成困難だった極端な大きさのモデルでも検討が可能である
- 見える化:応力や温度といった目に見えない物理量を可視化できる
短所(課題と問題を含む
- 計算値は限定された前提条件での近似値であり評価結果と必ずしも一致しない。
- 接触設定など境界条件の設定によって計算結果が変わる。
- 材料物性など別に評価して入力する必要がある。
- ソフトやハードウェアの導入費用と維持費用が必要になる。
- ソフトの使用方法を習得する必要がある。
- 得られた計算結果の検証が難しい。
留意点
CAEにおける留意点には「特異点、線形/非線形、定常/非定常」があります。
順番に内容を解説していきます。
- 特異点問題
- 線形解析と非線形解析
- 定常解析と非定常解析
①特異点問題
切り欠きのある形状に対して応力解析を行いコンター図を表示すると、応力が最大の部分が赤く表示されます。
こういった応力集中部ではメッシュが細かくなるにつれて、特定メッシュで応力値が大きなり発散します。これを特異点問題と言います。
②線形解析と非線形解析
線形解析とは梁を弾性変形領域の範囲で扱っているような、入力と出力との関係が線形にあらわされる現象のことです。
一方で入力と出力との関係が非線形になる現象を非線形現象と言います。
非線形現象には下記のような項目があります。
- 大変形
- 材料物性の非線形性(弾性変形と塑性変形など)
- 接触条件(すべりと固着など)
- 圧縮性と非圧縮性(空圧と油圧など)
③定常解析と非定常解析
定常解析とは解析条件における始点から終点を求める解析です。
解析中にその系に対して入出力が無い解析です。
一方で非定常解析では始点から終点に向かって時間ステップを設定して、その都度の状態に対する解を得ながら進めていく解析です。時系列での変化が知りたい場合は非定常解析を実施します。
今後の展望
今後もCAEは増々の発展が見込まれます。
具体的には下記のような項目に分類されます。
- ハードウェアの進化
- 計算アルゴリズムの進化
- 計算結果の評価方法の発展
①ハードウェアの進化
パソコンの頭脳であるCPUは「ムーアの法則」に沿って年々進化してきました。更に近年はGPUによる計算も行われ計算速度は高速化しています。
CPUの実装密度も高まり計算速度当たりの消費電力も低下しています。
消費電力の削減は地球環境の保護に貢献します。
②計算アルゴリズムの進化
ハードウェアの進化で従来は使用できていなかったような
AI技術を利用したアルゴリズムが利用できるようになってきています。
そのため3Dモデル上で計算と結果の描画を
リアルタイムに行うようなソフトも出てきています。
③計算結果の評価方法の発展
評価方法も機械学習の進化によって人が計算結果の可否を判断していましたが、
画像診断AIなどが結果を判断してパラーメータ探査する未来がそこまで来ています。
解析の横で実機評価を行うことでシミュレーション側から
実機での評価パラメータをリアルタイムにフィードバックするなど応用が期待されます。
CAEの特徴と概要まとめ【機械部門】
CAEについて調べてきましたが改めてハードウェアの進化に感謝しつつ、その「難しさ」について再確認しました。実際の業務でも使用することが今後も増えていくと思います。
設計者CAEという概念があらわれて久しいですが、それでも日本ではまだ発展要素が残されていると感じています。特にCAEより上流の入力部分である制約条件や仕様条件が、もっと取り入れていく必要を感じています。皆さんはいかがでしょうか。
構造解析、座屈解析、電磁界解析、定常解析、非定常解析、線形解析、非線形解析、熱流体解析、伝熱解析、
参考資料
参考資料は順不同で記載しています。
- TechNote|iPROS
CAEの基礎知識 - ヤマハ発動機株式会社|技法>特集 2002-9 No.34
CAEの意義と課題 - CAEと設計|株式会社東芝|日本機械学会
CAEの設計適用状況と課題 - みずほリサーチ&テクノロジーズ
設計者CAEについて考える - 株式会社ファソテック
設計者CAEのメリット(設計者CAEと専任者CAEの違い) - 3D設計推進者の眼(2)|MONOist
設計者CAEとは何なのか - ママさん設計者が教える「設計者CAE超入門」(1)|MONOist
かつてCAEを軽く見ていた設計者がその必要性について説く