WEB上に個人で公開されていた技術士二次試験の成績を分析してみました。筆記試験のサンプルは38件、口頭試験のサンプルは15件です。ご自身で成績開示をされた経験がある方は昨年の結果から何が不足していたのか学習戦略を見直すきっかけになると思います。
- 筆記試験では、得点率80%を越える解答は確認できなかった。
- 筆記試験では、全科目で得点率70%を越えている解答者はいなかった。
- 得点の端数は「X.25」と「X.50」と「X.67」があった。
- 必須1と選択2と選択3の全てで判定B以下だったのは全38サンプルのうち6件だった。
- 選択科目が判定Aだったとしても、両方とも判定Aなのは6割で、のこり4割は判定Bの科目もあった。
筆記試験の成績分析
筆記試験の成績は「必須1、選択2、選択3」の3つが開示されます。科目すべての合計は平均60.6点でした。
項目 | 必須科目 | 選択科目2 | 選択科目3 | 合計 |
---|---|---|---|---|
配点 | 40点 | 30点 | 30点 | 100点 |
合格点 | 24点(60%) | 18点(60%) | 18点(60%) | 60点 |
最高点 | 32.0点(80%) | 21.5点(72%) | 24.0点(80%) | 77.5点 |
平均点 | 25.1点(63%) | 17.1点(57%) | 18.5点(62%) | 60.6点 |
最低点 | 12.0点(30%) | 9.0点(30%) | 9.5点(32%) | 30.5点 |
判定A | 25/38(66%) | 18/38(47%) | 23/38(61%) | 18/38(47%) |
必須科目1の得点分布
全38サンプルのうち必須科目の統計値は次の通りです。判定Aは「25/38=61%」で半数以上の方が突破しています。
配点 | 合格点 | 最高点 | 平均点 | 最低点 | |
---|---|---|---|---|---|
点数 | 40点 | 24.0点 | 32.0点 | 25.1点 | 12.0点 |
得点率 | 100% | 60% | 80% | 63% | 30% |
選択科目2の得点分布
全38サンプルのうち選択科目2の統計値は次の通りです。判定Aは「18/38=47%」で半数に届いていません。
配点 | 合格点 | 最高点 | 平均点 | 最低点 | |
---|---|---|---|---|---|
点数 | 30点 | 24.00点 | 21.50点 | 17.09点 | 9.00点 |
得点率 | 100% | 60% | 72% | 57% | 30% |
選択須科3の得点分布
全38サンプルのうち選択科目3の統計値は次の通りです。判定Aは「23/38=61%」で半数以上の方が突破しています。
配点 | 合格点 | 最高点 | 平均点 | 最低点 | |
---|---|---|---|---|---|
点数 | 30点 | 18.00点 | 24.00点 | 18.45点 | 9.50点 |
得点率 | 100% | 60% | 80% | 62% | 32% |
各設問の配点を分析してみた
公開されている成績から80%以上の得点を得られている受験者がほぼ居ないことが分かりました。そこで受験時にはどの程度の得点を目指す必要があるのか予測していきたいと思います。満点を取るよりも取りこぼしを減らす作業です。
選択科目2-1と2-2は合計して30点の配点なので、それぞれ選択科目2-1が10点、選択科目2-2が20点の配点だと予想されます。解答する原稿用紙の量も1枚と2枚なので妥当だと思います。
得点率 | 必須科目 | 選択2 | 選択3 |
---|---|---|---|
100% | 40点 | 30点 | 30点 |
80% | 32点 | 24点 | 24点 |
70% | 28点 | 21点 | 21点 |
60% | 24点 | 18点 | 18点 |
必須科目の配点分析
設問で解答を要求されている内容から各設問に配点してみました。設問で問われている解答項目から配点は振り分けています。また、2パターンの配点を記載しています。
必須科目 | 設問1 | 設問2 | 設問3 | 設問4 |
---|---|---|---|---|
40点(100%) | 10点 | 10点 | 10点 | 10点 |
32点(80%) | 8点 | 8点 | 8点 | 8点 |
28点(70%) | 7点 | 7点 | 7点 | 7点 |
24点(60%) | 6点 | 6点 | 6点 | 6点 |
- 設問1:3~4項目
- 対象の概要(1項目)
- 3つの課題と観点(3項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問2:3~4項目
- 最重要課題+選定理由(1項目)
- 複数の解決策(2~3項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問3:2~4項目
- 成果と波及効果の分析(1~2項目)
- 新たな懸念事項と対策(1~2項目)
- 配点は1項目に対して最大4点と予想
- 設問4:2~4項目
- 倫理の観点で要件と留意点(1~2項目)
- 社会の持続可能性の観点で要件と留意点(1~2項目)
- 配点は1項目に対して最大4点と予想
選択科目2-1の配点分析
選択科目2-1では複数の項目を挙げたあとに、それぞれについて記述することが多いです。設問で解答を要求されている内容から各設問に配点してみました。設問で問われている解答項目から配点は振り分けています。解答すべき1項目あたり3点前後の配点が予想できます。
選択2-1 | 設問1 | 設問2 | 設問3 | 設問4 |
---|---|---|---|---|
10点(100%) | 10点 | 10点 | 10点 | 10点 |
8点(80%) | 8点 | 8点 | 8点 | 8点 |
7点(70%) | 7点 | 7点 | 7点 | 7点 |
6点(60%) | 6点 | 6点 | 6点 | 6点 |
- 設問パターン1:3~4項目
- それぞれの内容と特徴を説明せよ。
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問2:3~4項目
- 最重要課題+選定理由(1項目)
- 複数の解決策(2~3項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問3:2~4項目
- 成果と波及効果の分析(1~2項目)
- 新たな懸念事項と対策(1~2項目)
- 配点は1項目に対して最大4点と予想
- 設問4:2~4項目
- 倫理の観点で要件と留意点(1~2項目)
- 社会の持続可能性の観点で要件と留意点(1~2項目)
- 配点は1項目に対して最大4点と予想
選択科目2-2の配点分析
選択科目2-2は最も実務に近い内容を解答する設問です。そして解答用紙2枚に対して解答項目が非常に多い問題となっており、バランスよく解答していくことが求められます。
選択2-2 | 設問1 | 設問2 | 設問3 |
---|---|---|---|
20点(100%) | 7点 | 7点 | 6点 |
16点(80%) | 5.6点 | 5.6点 | 4.8点 |
14点(70%) | 4.9点 | 4.9点 | 4.2点 |
12点(60%) | 4.2点 | 4.2点 | 3.6点 |
- 設問1:3~4項目
- 対象の概要(1項目)
- 調査/検討/評価すべき項目と理由(3項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問2:4~6項目
- 業務を進める手順
- 留意点と工夫点(6項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問3:1項目
- 関係者との調整方策(1項目)
- 配点は1項目に対して最大10点と予想
選択科目3の配点分析
選択科目3では必須科目1とは似たような設問ですが設問4の有無と確認するコンピテンシーの内容が異なります。そのため、得点配分が設問3に多めに配されていると予想しています。
選択3 | 設問1 | 設問2 | 設問3 |
---|---|---|---|
30点(100%) | 10点 | 10点 | 10点 |
24点(80%) | 8点 | 8点 | 8点 |
21点(70%) | 7点 | 7点 | 7点 |
18点(60%) | 6点 | 6点 | 6点 |
- 設問1:3~4項目
- 対象の概要(1項目)
- 3つの課題と観点(3項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問2:3~4項目
- 最重要課題+選定理由(1項目)
- 複数の解決策(2~3項目)
- 配点は1項目に対して最大3点と予想
- 設問3:2~4項目
- 成果と波及効果の分析(1~2項目)
- 新たな懸念事項と対策(1~2項目)
- 配点は1項目に対して最大4点と予想
成績分析と配点予想まとめ
筆記試験における1点の重さ
筆記試験における1点の影響を百分率で確認してみました。判定Aは60%からですが少しでも足りなければ、判定Bとなり不合格となります。答案は公平性を期すために複数人の採点者によって採点されていると考えられますが、2人の間で1点の違いがあると0.5点の差がつく計算となります。特に得点0.5点は必須科目では2%相当となります。
必須 | 40点 | 選択 | 30点 | 選択合計 | 60点 |
---|---|---|---|---|---|
63% | 25.0点 | 63% | 19.0点 | 62% | 37.0点 |
61% | 24.5点 | 62% | 18.5点 | 61% | 36.5点 |
60% | 24.0点 | 60% | 18.0点 | 60% | 36.0点 |
59% | 23.5点 | 58% | 17.5点 | 59% | 35.5点 |
58% | 23.0点 | 57% | 17.0点 | 58% | 35.0点 |
採点者は複数いる可能性が高い
筆記試験の採点者は最低2以上で実施されている可能性が高いです。同じ答案を読んでも採点者によって得点が分かれるということが考えられます。そのため、字をきれいに書く、読みやすくラインを引くなど、採点時の印象を最後まで諦めないことは重要です。
選択科目は諦めるな!
次に選択科目で総合判定Aだった結果を分析しています。筆記試験に合格された方でも、選択科目のどちらかが判定Bだった方は約4割とたくさんいます。
選択科目A | 選択科目2 | 選択科目3 |
---|---|---|
14件 | 判定A | 判定A |
2件 | 判定A | 判定B |
6件 | 判定B | 判定A |
合計22件 | ー | ー |