解決策に共通して新たに生じうるリスクとは?
「解決策に共通して新たに生じうるリスク」とは、技術士二次試験の必須科目1と選択科目3に共通して出題される傾向のある設問です。2021年になると異なる言い回しの設問に代わっています。
設問の題意の読み取りが難しいと思いましたので分析していきます。
筆者は令和元年の試験で必須科目1はA判定でしたので信頼のおける内容です。
本設問は令和2年度から文言が変更になっています。
特に 機械部門では選択科目のほとんどで新設問となっています。
設問の分解
【必須科目1 と 選択科目3】
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、
その課題に対する解決策を複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
引用元:令和元年技術士第二次試験問題 1機械部門ー機械設計
問題文を分解してみます。
- 解決策に共通して
- 新たに生じうるリスクと
- それへの対策について述べよ。
これは「リスクの特定」と「リスクの対策」に分けることができます。
「リスクの特定」の部分に「解決策に共通して新たに生じうるリスク」が該当します。
「リスク」とは?
そもそも「リスク」とは何でしょうか?
「リスク」は「ISO9001:品質マネジメントシステム」の中で規定されており、
「リスク」=「品質を損なう可能性のある不確かさの影響」です。
設問で問われている「リスク」は、マネジメント的な「リスク」だろうということです。
品質はQC(品質管理)の考え方に習って「QCD+PSME:総合的な品質」と考えて大丈夫だと思います。
統合的な品質
- 品質(Quality)
- コスト(Cost)
- 納期(Delivery)
- 生産性(Productivity)
- 安全(Safety)
- モラル(Morale)
- 環境(Environment)
機械部門の技術者は「リスク」と聞くと「ISO12100:機械類の安全性」を連想して、
「リスク」=「重大性 × 可能性」と思うかもしれませんが、
設問で問われている「リスク」とは異なるので注意しましょう。
「解決策に共通して新たに生じうるリスク」とは?
「解決策に共通して新たに生じうるリスク」の解釈は難解です。
「共通して」が設問のどこを修飾しているのか不明だからです。
①「解決策に共通して、新たに生じうるリスク」なのか
②「解決策に、共通して新たに生じうるリスク」なのか分かりません。
解釈としては
設問(2)で挙げた最重要課題に対して、
すべての解決策を実行した結果として、生じるリスクの中で、
共通の項目が何か特定せよ。
設問(2)で複数の解決策を挙げる際に新たなリスクを見越して、
相互補完的な内容を挙げていると設問(3)で解答に窮することになります。そのため、解答の骨子を作成する際には、先に「対策」を考えてから「解決策」を記述しましょう。
リスク対策
「それへの対策」は「リスク対策(対応)」と読み替えましょう。
「リスク」に対しては、大きく4つの対応方法があります(詳細は ISO31000を参照)
設問では「対策」を問われているので、
「リスク回避」と「リスク軽減(低減)」に沿って解答します。
- リスク回避
- リスク軽減
- リスク転移
- リスク受容
リスク回避の例
「~というリスクがある。対策として、~を行う。これにより、~のリスクを回避する」
リスク軽減の例
「~というリスクがある。対策として、~を行う。これにより、~のリスクを低減する」
設問への答え方【解答例】
設問への解答例を2つ示す。
解答例1
3.解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策(22文字)
3.1 リスクの特定
リスク①、リスク②、リスク③
3.2 リスクの対策
リスク対策①、リスク対策②、リスク対策③
解答例2
3.解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策(22文字)
①リスクの特定~。リスクの対策~。
②リスクの特定~。リスクの対策~。
③リスクの特定~。リスクの対策~。
解決策に共通して新たに生じうるリスクまとめ
設問の「解決策に共通して新たに生じうるリスク」について分析しました。
リスクは必須科目と選択科目で共通の傾向がある設問であるため対策が必要です。
また、令和3年度は別パターンの設問もあるので合わせて対策しましょう。
参考規格(ISO/JIS)
規格番号 | 規格名称 |
---|---|
ISO 9001(JIS Q 9001) | 品質マネジメント規格 |
ISO 31000(JIS Q 31000) | リスクマネジメント規格 |
ISO 12100(JIS B 9700) | 機械類の安全性 |