皿ねじを設計で使用する際の注意点とミリ規格とインチ規格の罠

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皿ねじを皆さん使っていますか?

筐体の外装に使用するとねじ頭が飛び出さず、製品の外観が美しく仕上がるため魅力的な存在です。今回の記事では「皿ねじを設計で使用する際の注意点」と私の失敗談をお話します。

目次

皿ねじの規格「Countersunk screw」

皿ねじはJIS規格では「皿頭ねじ」と「皿ボルト」があります。

主要な「規格番号」は以下となります。

主要な規格番号
  • JIS B 1013-1014-1017:皿頭ねじ関連規格
  • JIS B 1179-1194:皿ボルト関連規格
  • ANSI/ASME B 18.3.5M:ユニファイの皿ねじ関連規格

JISは「ミリ規格」、ANSI/ASMEは「インチ規格」です。

皿ねじを用いた設計上の注意点

皿ねじには他のねじには無い注意点がいくつかありますのでご紹介します。

設計上の注意点
  • ねじ長さの測り方
  • 図面での皿モミ形状の指示
  • 相手部品の設計JIS B 1013-1014-1017:皿頭ねじ関連規格

①ねじ長さの測り方

皿ねじのねじ部の長さは他のねじと異なります。

最も皿ねじを使用する上で失敗しやすい注意点だと思います。

なぜ皿ねじは長さの定義が異なるのでしょうか?

以下のリンクによれば「埋まっている部分の長さで考える」ようです。

これは私の推測ですが歴史的に「木ねじ」が先に普及していたことに起因するのではと考えています。

外部リンク:ねじの測り方>ねじを測る箇所

②図面での皿モミ形状の指示

皿ねじを利用する場合は相手部品に「皿モミ」か「皿ザグリ」を加工します。

そのため図面で「皿モミ加工」を指示する必要がありますがこれが意外と難しいです。

もっとも簡易な方法としては「M3皿モミ」と注記のような書き方をすることですが、国内生産では問題ありませんが海外に転注した時に皿ねじが飛び出すなどトラブルになりやすいです。

量産では厳密に寸法を指定してやる必要があります。

外部リンク:JIS規格及び一般的に使われる皿穴寸法について>機械設計者のメモブログ

③相手部品の設計

皿モミの加工では「ねじ呼び径」と「相手部品の板厚」と「材質」を設定します。このとき、皿モミを加工できる板厚は下記のリンクが大変参考になります。

「1mm以下の板厚」では皿ねじを使用しないのが原則となります。

外部リンク:皿穴加工の寸法値(参考)>タカチ電機工業(PDF)
外部リンク:皿モミ穴M1~8(皿小ネジ用)深穴 >株式会社東京設計センター

【私の失敗談】届かない皿ねじ。着座しない皿ねじ。

私が過去に設計を通して経験した失敗を3つ紹介します。

  1. 母材に届かない皿ねじ
  2. 着座してくれない皿ねじ
  3. 皿モミから破れる固定部品

①母材に届かない皿ねじ

皿ねじはの長さには注意が必要です。

普段のノリで同じ長さでねじを注文しても、

ねじの頭の厚み分ねじの有効長さが短くなります。

ねじ長さが短く母材に届かないという悲惨な結果になります。

②着座してくれない皿ねじ

皿ねじにはインチ規格とミリ規格で異なる点があります。

それは皿モミの角度が異なる点です。

JISでは「90度」、ANSI/ASMEでは「82度」と異なります。

面取りカッターは基本「90度前後」の仕上がりになります。

実際にインチ規格で使用するには、ボールエンドミルや専用カッターを使用するなど手間がかかります。

製品の組み立て中にこれに遭遇して怒りに震えたことがあります。

皿ねじが着座しない原因として「面取りの軸線」と「通し穴の軸線」が一致していない場合があります。この場合は、皿ねじの皿の部分と面取りが片当たりになるため、ゆるみの原因となります。加工方法を指定するか設計を変更する必要があります。

③皿モミから破れる固定部品

皿ねじを使用して外観パーツを固定していましたが

評価試験中に外観パーツの固定部が破れてしまいました。

原因はねじの呼びに対して薄い板厚に大きな皿モミを加工したからです。

固定部品に皿ねじの頭がほとんどかかっていませんでした。

皿ねじを設計で使用するときの注意点まとめ

皿ねじを設計で使用するときの注意点をご紹介しました。

特に海外で生産する部品の場合は皿ねじは注意すべき機械要素です。

注意点に気を付けて快適な設計ライフを送りましょう。


以上。お読みくださりありがとうございます。

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